Japanese
English
研究と報告
恐慌性障害の症例研究:5—ライフ・イベントについて
Case Studies of Panic Disorder: 5: prevalence of life events in patients with panic disorder
塩入 俊樹
1
,
加藤 忠史
1
,
村下 淳
1
,
濱川 浩
1
,
高橋 三郎
1
Toshiki SHIOIRI
1
,
Tadafumi KATO
1
,
Jun MURASHITA
1
,
Hiroshi HAMAKAWA
1
,
Saburo TAKAHASHI
1
1滋賀医科大学精神医学講座
1Department of Psychiatry, Shiga University of Medical Science
キーワード:
Panic disorder
,
Life events
,
Scaling of life events
,
Panic symptoms
,
DSM-Ⅲ-R
Keyword:
Panic disorder
,
Life events
,
Scaling of life events
,
Panic symptoms
,
DSM-Ⅲ-R
pp.359-365
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903640
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【抄録】 恐慌性障害にみられるライフ・イベントについて,DSM-Ⅲ-R診断基準によって診断された恐慌性障害の201症例を基にPaykelのライフ・イベントスコアを用いて検討し,以下の結果を得た。
(1)ライフ・イベントについては全体で116名,57.7%の者に認められ,女性にやや多い傾向があった。重症度は極端に重篤なものは少なく,中等度から軽症のものまで広範囲に渡っていた。(2)ライフ・イベントの内容は女性では,患者自身の身体疾患(27.6%),家族や親類などとのトラブル(15.5%)の順になっていた。また女性特有のものとして,子供の誕生(5.2%)や転居(5.2%)が挙げられた。一方,男性では,仕事に関するもの(29.2%),身体疾患(25.7%)との順であった。(3)ライフ・イベントを持たない群において,“めまい感”,“しびれ感”,“胸部不快感”の3項目の出現率が有意に高かった。(4)ライフ・イベントの重症度の平均値は,男性で11.2±3.6点,女性で10.7±3.8点と,やや男性で高い傾向があった。(5)恐慌発作時の各症状とライフ・イベントの重症度との間には有意な相関はなかった。(6)ライフ・イベントの重症度と恐慌発作時の症状項目数との間には,女性群のみ有意な正の相関が認められた(r=0.40,p<0.05)。
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