「精神医学」への手紙
Letter—登校拒否と社会状況
高岡 健
1
,
栗栖 徹至
2
1岐阜大学医学部精神科
2岐阜市民病院精神科
pp.112
発行日 1994年1月15日
Published Date 1994/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903599
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文部省の学校基本調査は,近年,登校拒否が毎年増加する傾向にあることを示している。当初,この調査は年度間に通算50日以上欠席した児童・生徒のうち,(1)特に身体的な病気がない,(2)家庭の中に通学に困難を生じるような経済的な問題がない,(3)非行にはっきり結びつかないもの,を集計していた。その後,1991年度からは通算30日以上の登校拒否についても調査するようになり,1992年度は30日以上欠席した小学生が13,702人,中学生が58,363人,50日以上欠席した小学生が10,436人,中学生が47,482人という報告がなされている。
ところで,文部省がこの調査を開始した1967年以降,登校拒否の数はいったん減少に向かっており,1972年から1975年にかけては“谷間”を形成していた。この減少と“谷間”の理由を問うことが,1975年以降にみられる増加の理由を考える上で重要といえる。“谷間”の背景にいかなる事情が介在していたかということについては,これまで定説がない。わずかに,若林ら2)がいわゆるオイルショックとの関連性を示唆しているだけである。
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