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特別講演
アメリカ合衆国における宇宙飛行士の精神医学的・心理学的選抜について
The Psychiatric and Psychological Selection of U.S. Astronauts
P. A. Santy
1
,
石附 知実
2
,
松田 源一
3
Patricia A. Santy
1
,
Tomomi ISHIZUKI
2
,
Genichi MATSUDA
3
1テキサス大
2川崎市立川崎病院神経精神科
3国立下総療養所
1Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, University of Texas Medical Branch
2Department of Neuropsychiatry, Kawasaki Municipal Hospital
3National Shimofusa Mental Sanatrium
pp.851-859
発行日 1993年8月15日
Published Date 1993/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903499
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1960年代中期より,宇宙飛行士志願者に対する精神医学的評価は,比較的,構造化されていない方法によって行われてきた。2人の精神科医が,各々の志願者に対し独立した評価を行い,ジョンソンスペースセンター航空医学宇宙局に,別々の勧告をするという方法がとられた。当医学局は,実際に宇宙飛行士を選抜するわけではないが,NASA執行部に対し,その志願者が医学的に有資格者であるかについて助言する。NASA執行部は,各志願者の潜在的な“作業能力”について査定することが,選抜過程における精神医学的評価の目的ではないと主張したが,精神科医にはそうする義務が感じられた。宇宙飛行士選抜における精神医学の役割に対して異なるとらえ方があるため,1988年にワーキング・グループが設立された。その任務は,宇宙飛行士選抜過程における精神医学の役割を決めることである。
1989年,ジョンソンスペースセンターのNASA医療科学部門は,1957〜1988年のマーキュリー計画からスペースシャトル計画に至る精神医学的選抜過程の再調査を行ったワーキング・グループの勧告に基づき,宇宙飛行士志願者の精神医学的評価の方法を改訂した5,10,12,14,15)。ワーキング・グループの勧告は,別の場所で報告した16)が,NASAの医学的基準11)に基づき,現在もしくは過去の,不合格とすべき精神病をみつけだすといった,医学的・精神医学的過程もしくは“セレクトアウト”過程が,宇宙飛行士志願者の精神医学的評価の主眼である,と結論した。(NASAの)基準そのものは,アメリカ精神医学協会のDSM-Ⅲ-R1)による精神障害の診断に合うよう改訂された。
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