特集 加齢に関する精神医学的な問題
人口の高齢化と精神医学的研究
稲永 和豊
1,2
Kazutoyo INANAGA
1,2
1久留米大学
2筑水会病院神経情報研究所
1Chikusuikai Institute for Neuroinformation
2Chikusuikai Hospital
pp.116
発行日 1993年2月15日
Published Date 1993/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903391
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人口の高齢化,それも他の国々にみられない急速な高齢化を経験する我が国では,種々の医学的,社会的な問題が起こることが予測される。今回取り上げたシンポジウムの内容は精神医学的な問題のほんの一部にしかすぎない。このような問題に関連して世界的な動きとしてどのような研究課題があるかを知るためには,1992年6月28日〜7月2日にフランスのニースで開かれた第18回CINPの様子をみればよい。この会議においては21世紀を迎えての最も重大な課題はアルツハイマー病とその関連疾患に関する精神医学的な研究であろうという意見が出ている(Congress News,7月2日)。
このトピックスに関するセッションが9つも開かれたことからも明らかである。例えば「加齢に関連した認知障害」「加齢とアルツハイマー病におけるSPECT(single photon emission computed tomography)」「記憶の機能:精神薬理学的な見通し」「アルツハイマー病の治療に関する新しい戦略」「成功した脳の加齢」「コリン作動系と神経の可塑性」などシンポジウムの題目をみただけでもいかに多くの課題があるか明らかである。
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