Japanese
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短報
フレゴリー症候群と地誌的重複記憶錯誤を示し側頭葉に顕著な萎縮を示した1例
A Case of Fregoli Syndrome and Topographical Reduplicative Paramnesia with A Bitemporal Atrophy
兼本 浩祐
1
Kousuke Kanemoto
1
1国立療養所宇多野病院精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, Utano National Hospital
pp.195-197
発行日 1991年2月15日
Published Date 1991/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903004
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■はじめに
フレゴリー(Fregoli)症候群は6),陰性替え玉妄想であるカプグラ(Capgras)症候群に対して,陽性替え玉妄想と呼ばれることがあり15),特定の何者かが様々の形に姿を変えて自分を迫害するという稀な訴えである。元来は分裂病において論じられることの多かった替え玉妄想は,器質的な疾患を合併することがしばしばあることが近年指摘されるようになり1,14),フレゴリー症候群に関しても同様の症例報告がなされている7)。今回我々は,躁うつ病の経過中に,一過性に,フレゴリー症候群,重複記憶錯誤12)及び幻視といった多彩な症状を示し,両側側頭部に顕著な脳萎縮を認めた女性例を経験した。器質的な基盤を持ったカプグラ症候群に関しては,本邦においても既に報告があるが3,5),フレゴリー症候群が他の重複記憶錯誤と関連して出現した例はほとんど報告されていない。本稿では,症例報告と共に,フレゴリー症候群とその関連疾患の発現機序に関して若干の考察を加えた。
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