Japanese
English
短報
老年期および外来におけるうつ病の治療—四環系抗うつ薬に炭酸リチウムを追加投与する方法
Treatment of Depression for Outpatients or Geriatric Patients: Lithium carbonate augmentation of tetracyclic antidepressants
吉村 玲児
1
,
寺尾 岳
1
,
安松 信嘉
1
,
大森 治
1
,
白土 俊明
1
,
阿部 和彦
1
Reiji Yoshimura
1
,
Takeshi Terao
1
,
Nobuyoshi Yasumatsu
1
,
Osamu Ohmori
1
,
Toshiaki Shiratsuchi
1
,
Kazuhiko Abe
1
1産業医科大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, University of Occupational and Environmental Health, School of Medicine
pp.83-85
発行日 1991年1月15日
Published Date 1991/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902984
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■はじめに
老年期のうつ病に対し三環系抗うつ薬を投与する場合,治療量においても重度の抗コリン作用が起こることがある。これらには,焦燥感・頻脈・尿閉・イレウスなどが含まれ,さらに重篤になると,せん妄・錯乱・運動不穏・幻覚・けいれん発作なども生じることがある。また老人では,心疾患を合併している場合もあり治療継続が困難となる。一方,外来のうつ病患者に三環系抗うつ薬を投与する場合,口渇・霧視・便秘・排尿困難・起立性低血圧などの副作用からノンコンプライアンスが起こりやすい。さて,四環系抗うつ薬は三環系と比べて抗コリン作用などの副作用が軽度であり老人や外来患者に対して使いやすいという利点がある一方,効果の点で劣る印象は否めない。そこで私たちは,老人および外来患者8名に対して,先行投与した四環系抗うつ薬に炭酸リチウム(以下リチウムと略)を追加投与するという方法で抗うつ効果の増強を狙う治療を試みたのでその結果について若干の考察を加え報告する。
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