Japanese
English
研究と報告
脳卒中発症後のうつ病—その臨床精神医学的研究
A Clinical Study of Post-stroke Depression
植木 啓文
1
,
高井 昭裕
2
,
児玉 佳也
2
,
杉本 直人
3
,
若林 愼一郎
2
Hirofumi Ueki
1
,
Akihiro Takai
2
,
Yoshiya Kodama
2
,
Naoto Sugimoto
3
,
Shinichiro Wakabayashi
2
1岐阜県精神保健センター
2岐阜大学医学部神経精神医学教室
3岐阜医療技術短期大学
1Gifu Mental Health Center
2Department of Neurology and Psychiatry, Gifu University School of Medicine
3Gifu College of Medical Technology
キーワード:
Stroke
,
Depression
,
Situationanalysis
Keyword:
Stroke
,
Depression
,
Situationanalysis
pp.1065-1071
発行日 1990年10月15日
Published Date 1990/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902922
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抄録 脳卒中による精神・身体的後遺症が消失し一応の社会復帰を果たしている時期にうつ病相が出現した3症例を報告し,病因,発病状況,精神科受診までの問題,治療と経過等について臨床精神医学的に検討した。
これらの症例は,病因的には器質因性および身体機能障害に対する反応としての心因性は除外することができ,内因性うつ病様の病像を呈していた。発病状況としては,家庭・社会的役割を喪失するような事態が問題となっていた。抑うつ症状は正しく認識されるとは限らず,精神科的治療の開始までに長時間を要する場合がある。治療上,脳代謝改善剤を含めた薬物療法は不可欠であるが,脳卒中発症により変化した生活上の秩序の再構成,顕在化した葛藤に焦点をあてた精神療法的接近が必要となる。今後,人口の高齢化,脳卒中の軽症化等により,このような症例の増加が予想され,老年期精神医学およびリエゾン精神医学の立場からの対応が必要とされる。
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