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特集 精神疾患の現代的病像をめぐって
ヒステリーの現代的病像について—抑うつと境界例化に注目して
Contemporary Picture of Hysteria
中西 俊夫
1
Toshio Nakanishi
1
1名古屋大学医学部附属病院精神医学
1Department of Psychiatry, School of Medicine, Nagoya University
pp.845-851
発行日 1990年8月15日
Published Date 1990/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902891
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1.はじめに
古典的ヒステリーの減少が精神科医の間で語られるようになって久しい6)。最近では失立,失歩などの典型的な転換症状をみるのはごく稀になり,いわゆる大ヒステリーは臨床の場から姿を消し,忘れられたかのような存在になった。しかし,実際にヒステリーは減少したのだろうか? Kraepelin8)はヒステリー現象の本質はその変わりやすさであると断言しているが,今日の文化的状況の中でヒステリーが姿を変え,今なお精神科の臨床的問題になり続けている可能性は十分にある。
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