Japanese
English
研究と報告
向精神薬によりRhabdomyolysisを来した精神分裂病の1例
A Schizophrenic Case of Drug-induced Rhabdomyolysis
堤 学
1
,
岸 秀雄
1
Manabu Tsutsumi
1
,
Hideo Kishi
1
1佐野厚生総合病院精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, Sano Kousei General Hospital
キーワード:
Rhabdomyolysis
,
Tardive dyskinesia
,
Neuroleptic malignant syndrome
,
Schizophrenia
Keyword:
Rhabdomyolysis
,
Tardive dyskinesia
,
Neuroleptic malignant syndrome
,
Schizophrenia
pp.767-772
発行日 1990年7月15日
Published Date 1990/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902878
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 症例は58歳の慢性精神分裂病患者で,各種の抗精神病薬の投与を受けてきたが,錐体外路症状が出現しやすく,遅発性ジスキネジアもあり,少量の抗精神病薬で経過観察中であった。今回,向精神薬変更によりparkinsonismを生じ,その増悪の過程で一過性に強直姿勢,自律神経症状(発熱,発汗,頻脈,呼吸促進)が出現し,さらにCPK異常高値,高ミオグロビン血症,無尿を認め,rhabdomyolysisによる急性腎不全が続発した。rhabdomyolysisは悪性症候群(NMS)の合併症としてしばしば生じるが本例ではLevensonのNMSの診断基準を満たさなかった。NMSは線条体と視床下部におけるdopamine(DA)機能不全を主因とする筋固縮と自律神経症状,及び骨格筋症状(CPK上昇)から成ると考えられる。本例において高度の骨格筋症状(rhabdomyolysis)を呈しながら,筋固縮を認めず,自律神経症状も中等度にとどまったのは,遅発性ジスキネジアで示唆されるように線条体などにおいて部分的にDA受容体の代償的過感受性が形成されていたためと推論した。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.