Japanese
English
研究と報告
水中毒から悪性症候群様状態を示した接枝分裂病の1例
A Case of Graft Schizophrenia showing Neuroleptic Malignant Syndrome-like State following Water Intoxication
西嶋 康一
1
,
関口 清
1
,
石黒 健夫
1
,
海老根 廣行
2
,
本田 雅浩
2
,
名郷 直樹
2
,
松山 尚弘
3
,
新井 進
4
Koichi NISHIJIMA
1
,
Kiyoshi SEKIGUCHI
1
,
Takeo ISHIGURO
1
,
Hiroyuki EBINE
2
,
Masahiro HONDA
2
,
Naoki NAGOH
2
,
Naohiro MATSUYAMA
3
,
Susumu ARAI
4
1自治医科大学精神科
2自治医科大学地域医療
3自治医科大学ICU
4小山富士見台病院
1Department of Psychiatry, Jichi Medical School
2Department of Community Medicine, Jichi Medical School
3Intensive Care Unit, Jichi Medical School
4Oyama Fujimidai Hospital
キーワード:
Water intoxication
,
Hyponatremia
,
Neuroleptic malignant syndrome
,
Rhabdomyolysis
Keyword:
Water intoxication
,
Hyponatremia
,
Neuroleptic malignant syndrome
,
Rhabdomyolysis
pp.721-728
発行日 1994年7月15日
Published Date 1994/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903691
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【抄録】 重篤な水中毒に陥り,その改善途中より悪性症候群様状態を呈した接枝分裂病の1例を報告し,その発症機序に関して考察を行った。
症例は長期間精神病院に入院中の27歳の男性患者。大量の飲水後,意識障害,けいれん,嘔吐,失禁を認め,血清Naは106mEq/lと低値で,血清CPK値は34,640IU/lと異常高値であった。体温が40℃を越え下降しないため,ICUに転院となった。ICUでは,DIC傾向,肝不全の状態を呈したがintensiveな治療により改善に向かった。その後,電解質が補正されているにもかかわらず意識障害が持続し,体温も38℃以下に下降せず,異常な発汗,流涎,頻脈などを認めたため,水中毒改善途中より悪性症候群の過程が始まったものと考えた。ダントロレンを投与したが十分な効果を認めないため,レボドーパを追加投与したところ,著しい意識障害の改善,体温の下降,流涎の減少などを認めた。本症例では,全経過中筋強剛を認めない点が特徴的であった。
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