Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 本研究では短期反応精神病(DSM-III-R)の43例(男22例,女21例)が調査された。その結果,全例に何らかの発病契機,心因が認められ,この疾患群に心因反応の側面のあること,病相期間が最長15日とごく短く,その病像は激しい情動や不安,および意識障害の特徴を伴っており,多くの点で分裂病の典型像と異なることが示された。この調査対象は異常情動群(D群:興奮,錯乱を示すDe群と寡動が主徴のDr群),幻覚妄想群(P群:急性妄想状態を呈するP1群と夢幻様状態を示すP2群)とに分類された。さらにそれらはD群;前駆期から焦燥感などの気分変調が多く認められ,女性,若年者に多く,未熟な感情優位の反応傾向を認む,P1群:強い不安が前駆し病相期体験に病前の不安,葛藤の内容が反映される,敏感や自信欠乏などの性格傾向が発病と関連づけられうる,P2群:睡眠不足,疲労など身体的負荷を含む広い範囲の負荷で発症し,病相期の体験内容,性格,心因などの間の関連性が乏しい,などと特徴づけられた。そしてこれらはそれぞれが異なる病態からなり,多種の要因が複雑に関与して成立しているものと推定された。
In this report the author presented the investigation of 43 patients (male: 22, female: 21) with brief reactive psychosis (DSM-Ⅲ-R). The subjects were selected with the DSM-Ⅲ-R criteria from 781 patients consecutively admitted to and treated in the psychiatric emergency unit of Tokyo Metropolitan Matsuzawa Hospital during the period of Jan. 1984-Oct. 1987. Table 1, 2, 3 showed the subjects' age at the first episode and age at admission (1), the inpatient treatment period (2), and, the whole treatment period and follow-up period (3).
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.