Japanese
English
研究と報告
精神分裂病患者の病前行動特徴(第2報)—通知表による分裂病患者とその同胞および感情病患者の行動評価の比較
Premorbid Behavioral Characteristics of Schizophrenic Patients: A comparison of the school records of schizophrenic patients, their siblings and patients of affective disorders
増井 寛治
1
,
岡崎 祐士
2
,
原田 誠一
3
,
高桑 光俊
4
,
佐々木 司
5
,
熊谷 直樹
6
Kanji Masui
1
,
Yuji Okazaki
2
,
Seiichi Harada
3
,
Mitsutoshi Takakuwa
4
,
Tsukasa Sasaki
5
,
Naoki Kumagai
6
1東京都立松沢病院
2長崎大学医学部精神神経科学教室
3東京都立中部総合精神保健センター
4多摩病院
5神経研究所付属晴和病院
6東京大学医学部精神医学教室
1Tokyo Metropolitan Matsuzawa Hospital
2Department of Neuropsychiatry, Nagasaki University School of Medicine
3Tokyo Metropolitan Comprehensive Mental Health, Center of Central District
4Tama Hospital
5Seiwa Hospital, Neuropsychiatric Research Institute
6Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, University of Tokyo
キーワード:
Schizophrenia
,
Affective disorder
,
Siblings
,
School record
,
Premorbid behavioral characteristics
Keyword:
Schizophrenia
,
Affective disorder
,
Siblings
,
School record
,
Premorbid behavioral characteristics
pp.163-170
発行日 1990年2月15日
Published Date 1990/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902789
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抄録 小中学校時代の通知表を資料として精神分裂病患者21人とその同胞21人および感情病患者11人を比較し,分裂病患者により特徴的な病前行動特徴の同定を試み,感情病患者の病前行動特徴についても調査した。方法は前報で報告した行動項目一覧を用いたが対象に感情病患者が加わることで結果的に新たに9つの行動項目の追加が必要であった。前報と同じ評価基準で,盲検的に行動項目の評価を行い3群間で比較した。その結果,分裂病群は「責任感がある」などの7つの教師による肯定的評価項目で他の2群よりも有意に少なく,「緊張が強く場に溶け込めない」などの3つの否定的項目で他の2群よりも有意に多かった。これらは,分裂病患者にかなり特異的な病前行動特徴と考えられた。感情病群は他の2群と比較して4つの肯定的項目と4つの否定的項目に有意差があり,いずれも感情病群に多く認められた。これらの項目は下田の執着性格の行動的標識とされている記述に類似していた。以上の有意差を認めた項目の有無で得点化すると,分裂病患者と感情病患者の分布はかなり明瞭に分離した。
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