Japanese
English
研究と報告
自己啓発セミナーへの参加を契機に精神症状の発現をみた6症例
Six Cases with Psychiatric Symptoms Precipitated by Self-Improvement Seminars
大西 建
1
,
山田 和男
2
,
長瀬 泰子
3
,
藤谷 興一
3
,
大久保 善朗
3
,
渥美 義賢
3
,
小島 卓也
3
,
融 道男
3
Ken Ohnishi
1
,
Kazuo Yamada
2
,
Yasuko Nagase
3
,
Kouichi Fujiya
3
,
Yoshio Ohkubo
3
,
Yoshikata Atsumi
3
,
Takuya Kojima
3
,
Michio Toru
3
1茨城県立友部病院
2山本病院
3東京医科歯科大学神経精神医学教室
1Ibaraki Prefectural Tomobe Hospital
2Yamamoto Hospital
3Department of Neuropsychiatry, Tokyo Medical and Dental University
キーワード:
Self-improvement seminar
,
Psychiatric symptoms
,
Reactive psychosis
,
Schizophrenia
Keyword:
Self-improvement seminar
,
Psychiatric symptoms
,
Reactive psychosis
,
Schizophrenia
pp.1217-1223
発行日 1991年11月15日
Published Date 1991/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903147
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【抄録】 自己啓発セミナーへの参加を契機に精神症状を発現した6例を経験した。内訳は,心因反応が2例,反応性抑うつが1例,分裂病圏が3例であった。年齢は,5例が20代前半,1例が30歳であった。いずれもセミナー参加と時間的に近接した急性発症であった。情動面の不安定性が全例に共通しており,症状の内容面では,セミナーに関連したものが全例に認められた。症例がセミナーで経験した主観的状況から,①心理的・身体的に「逃げ」が許されない環境で,②感情を発露するよう反復して指示・操作を受け,③強力な内省と自己直面を強いられ,④「秘密」が集団の中で暴露され共有される。⑤セミナー終了後も他の参加者から心理的・社会的ストレスを受ける。⑥セミナーの体験と現実との齟齬がストレスになる,といった共通性が抽出できた。このような状況は,精神症状発現の契機になりうる。何らかの予防精神医学的対策が講じられる必要があると思われる。
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