巻頭言
抗精神病薬の保険適応疾患を考える
新井 平伊
1
1順天堂大学医学部精神医学教室
pp.366-367
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902619
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近年精神科医がかかわる領域は拡大し,精神分裂病やうつ病などを対象とした伝統的な診療だけでなく,痴呆疾患や妄想性障害などの老年期医療,学校保健を中心とした児童・思春期医療,労働災害との関係も含めた産業精神医学,予防医学的な精神保健活動,症状精神病やがんをめぐるリエゾン・コンサルテーション活動を中心とした総合病院精神医学などが加わり,さらには精神科救急医療や精神障害者身体合併症医療の整備が図られている。このような精神医療の発展は,全人的医療が要求される中で精神医学と精神科医の役割が今までよりも認知されてきていることの現れであることは言うまでもない。
このような現象に伴って注目すべきことの一つに,向精神薬がさまざまな形で広く用いられていることが挙げられる。向精神薬の治療効果はさまざまな疾病で確認されてきている。また,有効な薬物の作用機序を解明することにより,脳機能・形態の解析機器によるデータと併せて疾病本態の解明に寄与している。したがって,薬物療法は精神医療において,いわゆる精神療法とともに確固たる治療法としての地位を確立している。
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