Japanese
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資料
解離性同一性障害入院患者の臨床特徴
The Clinical Phenomenology of Inpatients with Dissociative Identity Disorder
福島 春子
1
,
胡桃澤 伸
1
,
金 光洙
1
,
田中 究
1
,
小林 俊三
1
,
安 克昌
1
,
前田 潔
1
Haruko FUKUSHIMA
1
,
Shin KURUMIZAWA
1
,
Kohsyu KIM
1
,
Kiwamu TANAKA
1
,
Syunzo KOBAYASHI
1
,
Katsumasa AN
1
,
Kiyoshi MAEDA
1
1神戸大学医学部精神神経科
1Department of Psychiatry and Neurology, Kobe University School of Medicine
キーワード:
Dissociative identity disorder
,
Childhood trauma
,
Inpatient treatment
Keyword:
Dissociative identity disorder
,
Childhood trauma
,
Inpatient treatment
pp.153-157
発行日 2000年2月15日
Published Date 2000/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902165
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はじめに
解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder;DID)の特徴は1人の人間の中に2つ以上の独立した異なる同一性(交代人格)が存在することである。交代人格は,それぞれ独自の感情と行動のパターンを持ち,ある同一性が優勢な時には,その同一性が個人の行動を支配する2)。
多重人格現象は,18世紀末Gmelin, E9)が症例報告をして以来,19世紀にJanet, P.9,17,24),Binet, A.18,20),Prince, M.15),James, W.12)など多数の報告がある。しかし,20世紀に入ると,多重人格の症例報告は激減し,もはや多重人格は存在しないとまで考えられた22)。だが,北米では1970年以降,多重人格が再び注目されるようになり,1980年DSM-III1)で正式に診断名として採用されてから,症例数が爆発的に増加した。1990年代には,トルコ23),オランダ5,6,25),ベルギー26),ハンガリー26)など様々な国で,DIDの症例報告が相次いだ。オランダのBoonら5)は,精神科入院患者でDIDと診断されていなかった患者全体の3〜5%がDIDであった,と報告している。
日本では,DIDは今なお稀な病態であると考えられている11)。日本における症例報告は,1996年以前には10例しかない10)。しかし,近年,日本でもDIDの症例報告が増加している4)。
今回我々は,DIDの診断,臨床症状,精神病理,経過,治療に焦点をあて,その臨床特徴を調査し報告する。
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