書評
—Suzette M. LaRoche, Hiba Arif Haider 原著 吉野相英 訳—脳波で診る救命救急—意識障害を読み解くための脳波ガイドブック
河村 満
1,2
1奥沢病院
2昭和大・脳神経内科
pp.977
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207340
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ハンス・ベルガーが初めて人の脳波記録に成功したのは1920年代で今からちょうど100年前のことであった(論文発表は1929年)。この成功の背景には,精神機能を測ることへの強い興味があった。ベルガーは脳波実用化の過程で,脳の温度や脳血流の測定にも力を注いだ。α波やβ波の命名もベルガーによる。
学生時代(1970年代)の実習で,脳波室の先生から脳波検査法の意味を習ったことを今でもよく覚えている。脳波測定の意義は2つで,1つは意識レベルがわかること,もう1つはてんかん診断ができること,と教わった。X線CTがようやく開発されたころであった。それから半世紀を経て脳波診断の意義は拡大し,神経救急診療の場面全般で大きな意義を持つようになった。これらの背景からNCSE(非けいれん性てんかん重積状態)が示され,最近では健忘・失語などてんかん性高次脳機能障害ともいえる病態が特に注目されている。
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