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特集 アディクション—コロナ禍で変わったこと,変わらないこと
【物質依存】
アルコール依存症の病態—COVID-19流行下での変化も含めて
Pathology of Alcoholism and Changes during the COVID-19 Pandemic
佐久間 寛之
1
Hiroshi Sakuma
1
1独立行政法人国立病院機構さいがた医療センター
1Saigata Medical Center, Niigata, Japan
キーワード:
アルコール使用障害
,
alcohol use disorder
,
アルコール症
,
alcohol-related disorders
,
新型コロナウイルス感染症
,
coronavirus disease 2019
,
COVID-19
,
自己治療仮説
,
self-medication theory
,
苦痛の回避
,
emotional pain
Keyword:
アルコール使用障害
,
alcohol use disorder
,
アルコール症
,
alcohol-related disorders
,
新型コロナウイルス感染症
,
coronavirus disease 2019
,
COVID-19
,
自己治療仮説
,
self-medication theory
,
苦痛の回避
,
emotional pain
pp.896-901
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207328
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抄録
アルコール依存症はコントロール障害を軸とした疾患である。common diseaseであるにもかかわらず,多くの医療者が治療や介入に悩みがちである。依存症の本質は心的苦痛である。飲酒が心的苦痛の原因であると同時に,心的苦痛の自己治療であるというダブルバインドの状態になりがちである。対立的,直面化的な対応は敵対的な治療関係につながりかねない。患者を理解しようという対象理解の視点が必要である。COVID-19流行下(コロナ禍)でさまざまなメンタルヘルスの悪化が指摘されたが,アルコール依存症が増加したという明確なデータはない。しかし災害状況では,断酒したアルコール依存症者など脆弱性を持つ一群の再発が報告されているため注意を要する。また,コロナ禍により依存症の治療環境もオンライン化,グローバル化が進んだ。コロナ禍を経たわれわれは,依存症者が持つ孤独・孤立の苦痛を理解できるはずである。対象理解の視点が重要である。
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