Japanese
English
特集 精神疾患回復の時間経過を見通す
高次脳機能障害における回復の時間経過
Time Course of Recovery in Higher Brain Dysfunction
藤川 真由
1,2
,
斎藤 文恵
1
,
黒瀬 心
1,3
,
三村 將
1
Mayu Fujikawa
1,2
,
Fumie Saito
1
,
Shin Kurose
1,3
,
Masaru Mimura
1
1慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
2東北大学病院てんかん科
3量子科学技術研究開発機構量子医科学研究所脳機能イメージング研究部
1Department of Neuropsychiatry, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Department of Epileptology, Tohoku University Hospital
3Department of Functional Brain Imaging, National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology
キーワード:
高次脳機能障害
,
higher brain dysfunction
,
外傷性脳損傷
,
traumatic brain injury
,
回復
,
recovery
,
収集行動
,
collecting behavior
,
ため込み
,
hoarding
Keyword:
高次脳機能障害
,
higher brain dysfunction
,
外傷性脳損傷
,
traumatic brain injury
,
回復
,
recovery
,
収集行動
,
collecting behavior
,
ため込み
,
hoarding
pp.1529-1536
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207124
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抄録
高次脳機能障害の病態と日常生活について,短期間と長期間の時間経過の中での変化を対比して検討した。症例は交通事故による外傷性脳損傷によりびまん性軸索損傷を生じた40代の男性である。もともと優秀なエンジニアであったが,受傷後の早期に復帰した職場では,不眠,意欲低下,体調不良を生じ,適応反応症として就労継続が困難となり退職した。短期的経過では,上記の症状の持続とともに,高次脳機能障害として,特有のこだわり・固執傾向に伴う収集行動とため込み行動を認め,自宅内はほとんど寝るスペースもなく,日常生活に支障が生じた。長期的経過では,症状自体には大きな変化を認めなかったが,公認心理師やソーシャルワーカーを含めた治療チームの介入により,生活の質は大幅に改善した。高次脳機能障害においては長期にわたる多職種による介入・関わりが重要である。
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