増大号特集 精神科クリニカル・パール—先達に学ぶ
第5章 統合失調症診療の先達
統合失調症の人たちから学んだこと
池淵 恵美
1
1帝京平成大学大学院臨床心理学研究科
キーワード:
統合失調症
,
schizophrenia
,
ストレングス
,
strength
,
長期経過
,
long-term course
,
再発
,
relapse
,
生活障害
,
disability
Keyword:
統合失調症
,
schizophrenia
,
ストレングス
,
strength
,
長期経過
,
long-term course
,
再発
,
relapse
,
生活障害
,
disability
pp.709-715
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206353
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clinical pearl
・未来を夢見る青年期に統合失調症になった人の苦しみや挫折感を考えるとき,患者さんの生き方そのものがリスペクトの対象となる。
・一緒に苦しいときを潜り抜ける中で見えてくる患者さんの美点は,その後の治療を支えるものとなる。
・治療の見通しに絶望感を感じるときは,必ず患者さんも同じ絶望を抱えている。
・治療者があきらめてしまったら,そこからは治療の発展が止まってしまう。
・ずいぶんよくなったと安心していると,足元をすくわれるように再発することがある。今までの遅れを取り戻そうと冒険する(そっと薬をやめてしまうなど)ときが多い。
・患者さんも治療者も,支えあえる仲間が必要である。そしてワンチームで回復に取り組んでいく上で,チームメンバーは対等であり,患者さんやご家族の視点を重視するとうまくいく。
・患者さんと家族にとって,統合失調症という病名がネガティブな価値観を含んでおり,将来への絶望感をもたらすものであるとしたら,だれもそれを引き受けたいとは思わないだろう。
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