Japanese
English
特集 精神科臨床における共同意思決定(SDM)
治療同意判断能力と意思決定支援—医療倫理の観点から
Capacity to Consent to Treatment and Decision-support:From the viewpoint of medical ethics
松長 麻美
1,2
,
藤井 千代
1
Asami Matsunaga
1,2
,
Chiyo Fujii
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域・司法精神医療研究部
2北村メンタルヘルス研究所
1Department of Community Mental Health and Law, Institute of Mental Health, National Center of Neurology and Psychiatry, Tokyo, Japan
2Kitamura Institute of Mental Health Tokyo
キーワード:
治療同意判断能力
,
capacity to consent to treatment
,
意思決定
,
decision making
,
医療倫理
,
medical ethics
,
精神科医療
,
psychiatry
Keyword:
治療同意判断能力
,
capacity to consent to treatment
,
意思決定
,
decision making
,
医療倫理
,
medical ethics
,
精神科医療
,
psychiatry
pp.1311-1318
発行日 2020年10月15日
Published Date 2020/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206193
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抄録 近年,精神科医療において当事者主体の意思決定への注目がますます高まっている。一方で,実際の臨床の場では本人の意向に基づかない治療決定がなされる場合もある。これについて治療同意判断能力を軸として,医療倫理の観点から検討した。医療倫理における自律尊重原則の観点からは,同意判断能力が十分である限り本人の意思は尊重され,同意判断能力が減弱していると判断された場合には,まずその能力を発揮できるような支援を行うべきであると考えられる。一方,可能な限りの支援をもってしても同意判断能力が不十分であり,かつ決定事項が本人に大きな不利益をもたらしかねない場合には,善行,無危害といった医療倫理の他の原則の観点より,不利益からの本人の保護のために他者による意思決定なども考慮すべきと考えられた。今後,議論をより深めるとともに,精神科医療の場だけにとどまらない意思決定支援や,代行判断に関する法的な整備が期待される。
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