特集 精神医学における主観と主体
特集にあたって
福田 正人
1
1群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学
pp.497
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205825
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精神疾患の症状として,当事者が体験する主観的な症状は重要な位置にあり,診断においては必要不可欠なものです。また,意欲や自発性の低下という主体性の困難はさまざまな精神疾患に共通して認められる非特異的な症状で,当事者の生活に大きな影響を与えます。さらに精神疾患の回復において,当事者が自らの主観的な価値に基づいて主体的に人生を生きていけることは,基本となります。
こうして,主観や主体は相互に結びついた精神医学における重要なテーマとして古くから重視されてきていますが,自然科学の対象とすることに困難があるため,これまで十分な発展を遂げられなかったところがありました。しかし,最近の臨床活動の広がりと脳科学の発展により,主観や主体を新しい視点から捉えることが可能となってきています。そこで,精神医学における主観と主体について,現時点での理解の到達点とこれからの方向性をさまざまな立場から解説していただき,現場での臨床実践に役立つとともに,主観や主体の科学を考える手がかりとなる特集を企画しました。
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