特集 精神医療は何を目指すのか—アウトカムとエンドポイント
特集にあたって
福田 正人
1
1群馬大学
pp.955-956
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670070955
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「病気や症状はなぜ治療するのか?」と,ある時から医学生教育でそう投げかけるようになった。医学生は病気や症状の治療を当然と思っているが,医療で何を目指すかは患者と医療者で一致しているとは限らないからである。——本特集の執筆を依頼するときに紹介した背景である。この問いに,精神疾患の当事者や他診療科の医師は,次のように答えてくださった。
「精神医療においては『治療が成功したか』ではなく,『本人の意思が尊重されたか』が真に問われるべきアウトカムである」(山田論文),「医療におけるアウトカムとエンドポイントは,単なる測定対象ではなく,価値観と社会性を含んだ概念である」(矢吹論文),「PRO(patient-reported outcome)の日常診療へ統合は,患者が自分の声を継続的に届ける仕組みを医療のなかに制度化する取り組みであり,まさに患者中心の医療の根幹をなすものである」(堀江論文)。

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