オピニオン パーソナリティ障害の現在
BPDに思う
関 由賀子
1
1国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院精神科
pp.168-173
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205775
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はじめに
本オピニオンのテーマは「パーソナリティ障害の現在」であるが,筆者はパーソナリティ障害の診療経験を,ことに最近ではそれほど持っているわけではない。そういう意味では,本テーマにある「現在」には合致しないのかもしれないが,筆者にはパーソナリティ障害,中でもborderline personality disorder(BPD)というと否応なく思い出される患者がいる。その患者は,精神科医になって間もない頃に(というか,直接の受け持った2例目の新入院として)担当したのであるが,その経験はその後のBPD患者とのかかわりを決定づけたともいっていい強烈な体験であった。その頃に感じた疑問の一つを契機として,かつて『「人柄」を把握するということ—「元々どういう人だったの」に触れて—』(精神科治療学23:685-690,2008)という拙論を書いたことがある。それを含むその経験で感じたことの多くは論文化できるようなものではないものの,筆者にとってその後のBPDの診療の拠り所となったことは確かであり,その当時にBPDという患者のことについて感じていたあれこれを,この機会に書き記しておくことをお許し頂きたい。
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