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特集 精神科臨床から何を学び,何を継承し,精神医学を改革・改良できたか(Ⅰ)
「精神分裂病」の病名変更は精神科臨床に何をもたらしたか
Effects of Changing the Name “Seishin-bunretsu-byo” on Clinical Psychiatry
佐藤 光源
1
Mitsumoto Sato
1
1恵風会高岡病院
1Takaoka Hospital, Himeji, Japan
キーワード:
Name change
,
Schizophrenia
,
Kraepelinian concept
,
Vulnerability stress model
,
Integration disorder
Keyword:
Name change
,
Schizophrenia
,
Kraepelinian concept
,
Vulnerability stress model
,
Integration disorder
pp.1183-1190
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205708
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はじめに
周知のように,日本精神神経学会(JSPN)は2002年の総会で,1937年から続いた「精神分裂病」を「統合失調症」に変更した。この病名変更は単なる呼称変更ではなく,同時に早発痴呆に由来するクレペリン的な疾患概念(Kraepelinian concept20),K概念)から完全寛解やリカバリーが期待できるWHOの一般概念に改め,その病因・病態や臨床経過,長期転帰を脆弱性ストレスモデルで説明したもの16)であった。その精神科臨床に及ぼした影響を取り上げるにあたり,まず病名変更の経緯について簡単に触れ,ついで呼称と一般概念の変更が何をもたらしたのか考えてみたい。ただし,病名告知率を除いて臨床的意義に関する追跡調査は必ずしも十分でなく,臨床的意義に関する考察が中心になることを,はじめにお断りしておきたい。
なお,呼称変更と社会的スティグマに関してはYamaguchiらの報告21)があり,呼称変更とマスメディアについてはKoikeらの報告5)があるので,そちらを参照されたい。
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