特集 精神科臨床から何を学び,何を継承し,精神医学を改革・改良できたか(Ⅰ)
創刊60周年記念特集にあたって
佐藤 光源
1
1恵風会高岡病院
pp.1181-1182
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205707
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本誌「精神医学」は「臨床に即した高度な内容をわかりやすく提供する」ことを編集方針として1959年に誕生した。終戦から14年が経過して日本の精神医学がようやく復活の兆しを見せ始めた当時は,精神医学領域の定期刊行物は日本精神神経学会の「精神神経学雑誌」(精神経誌)が唯一のものであったが,内村祐之は「遺憾なことに学位論文風のものが多くて臨床医家に必要な知識の啓発や総説が非常に少なかった」と振り返っている。そうした中で,精神経誌のほかにもう一つ精神科臨床に直接役立つような定期刊行物を持ちたいという有志が集まって編集同人になり,本誌が創刊された。本誌の英文表記が「Clinical Psychiatry」である所以でもある。この臨床重視の編集方針を貫いて60周年を迎えたことは,祝福に堪えない。
私事ながら,本誌が発刊された4年後に精神科医になった筆者は,症例を中心にした臨床研究は本誌の「症例報告」や「研究と報告」,「総説」の各欄に投稿し,学位論文や動物実験による前臨床研究は精神経誌に投稿してきた。臨床に始まり臨床に終わる精神医学を目指した多くの研究者にとって,本誌は貴重な数少ない発表の場であった。
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