特集 精神科診療におけるてんかん
特集にあたって
吉野 相英
1
1防衛医科大学校精神科学講座
pp.317
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205567
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精神科外来には多種多様な「発作エピソード」を訴えて患者が訪れてくるが,その診断に至る過程は単純ではない。たとえば,発作性健忘を訴える患者では解離症と診断する前に複雑部分発作や一過性てんかん性健忘などを鑑別しなくてはならないだろう。てんかん発作との鑑別のために神経内科を紹介する方法も考えられるが,その神経内科医は解離についても知識を持ち合わせているのだろうか。神経内科医の「心因性」という診断を鵜呑みにして治療を始めても問題はないのだろうか。こうした精神医学と神経学の境界領域についても精通していることが精神科医には求められている。とは言え,明日の精神医療を担う専攻医にとって経験すべき対象はICD-10のFコードかDSM-5にリストアップされている病名がすべてであって,どちらにも掲載されていないてんかんに対する関心は低くなりがちと言わざるを得ない。したがって,この境界領域の診療の担い手を増やしていくための啓発は重要な課題と言える。
本特集では,精神科診療におけるてんかん学の重要性を読者に再認識していただくことを目的とし,精神科診療で遭遇することの多いてんかん症候群とその境界領域について,第一線で活躍されている先生方に解説をお願いした。
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