Japanese
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特集 改正道路交通法と医療の視点
統合失調症の自動車運転にかかわる法規制
Regulation of Law Concerning Car Driving of Schizophrenia
三野 進
1
Susumu MINO
1
1みのクリニック
1Mino Clinic, Takamatsu, Japan
キーワード:
Road Traffic Act
,
Driver's license disqualification
,
Schizophrenia
,
Dangerous driving causing death or injury crime
Keyword:
Road Traffic Act
,
Driver's license disqualification
,
Schizophrenia
,
Dangerous driving causing death or injury crime
pp.293-300
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205358
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はじめに
精神疾患に対する資格取得上の欠格規定の多くは撤廃されたが,精神疾患への危険視を前提とする道路交通行政では,精神疾患名を挙げて免許を与えないとする欠格条項が残された。道路交通法施行令で統合失調症,そううつ病と特定し「自動車等の安全な運転に必要な認知,予測,判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないもの」に限って例外的に免許を認めるという規定を2001年から採用している。現実には,これらの疾患にある人の大部分は,運転免許を適正に取得し,生活を送る上で不可欠なものとして自動車を運転している。しかし,人身事故時や免許更新時に精神疾患にあり欠格に相当することが疑われると,主治医の診断書を要求されることになる。この診断書には,運転能力と症状の関係,将来予後を記載することが求められる。
問題をさらに深刻にしているのが,「自動車運転死傷行為等処罰法」の存在である。この法には,てんかん,精神疾患など政令で定める病気の影響で「走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある」と認識して運転し,人を死傷させた場合に懲役15年といった重罰を課す規定が含まれる。これらの法改正は当該患者に重大な脅威を与えているが,精神科医療者にとっても,診断書記載などについて説明義務があり,欠格事由への知識と判断が必要となる。
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