Japanese
English
研究と報告
睡眠相遅延症候群の時間療法(Chronotherapy)
A Treatment for the Delayed Sleep Phase Syndrome with Chronotherapy
伊藤 彰紀
1
,
太田 龍朗
1
,
粉川 進
1
,
岩田 宗久
1
,
寺島 正義
1
,
岡田 保
1
Akinori Itoh
1
,
Tatsuro Ohta
1
,
Susumu Kogawa
1
,
Tokihisa Iwata
1
,
Masayoshi Terashima
1
,
Tamotsu Okada
1
1名古屋大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Nagoya University School of Medicine
キーワード:
Delayed sleep phase syndrome
,
Chronotherapy
,
Rectal temperature
,
Polysomnography
,
Sleep-wake schedule disorder
Keyword:
Delayed sleep phase syndrome
,
Chronotherapy
,
Rectal temperature
,
Polysomnography
,
Sleep-wake schedule disorder
pp.1055-1062
発行日 1989年10月15日
Published Date 1989/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204784
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抄録 睡眠相遅延症候群と診断された成人男女3例に対して時間療法(Chronotherapy)を行い,治療前後と治療中の各睡眠について睡眠ポリグラフィーと直腸温連続測定とを施行した。症例はいずれも青年期以後に通常の時間帯における就眠困難と覚醒困難を呈し,社会生活に障害を生じていた。
治療前,夜間に睡眠をとらせた場合のポリグラフィーでは睡眠潜時・REM潜時が長く,睡眠前半に中途覚醒が頻回または長時間にわたって認められた。直腸温リズムも遅延して固定していた。これらの異常の程度は,各症例の臨床上の重症度・社会的な障害の程度とよく相関していた。治療後では睡眠潜時・REM潜時の短縮・正常化が認められ,睡眠効率も改善した。また直腸温リズムの遅延も是正された。しかし一方で容易に再度の遅延が起こる傾向がうかがわれ,時間療法のみによる治療では長期の維持に限界があるのではないかと考えられた。
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