Japanese
English
研究と報告
長期通院分裂病者の社会適応と治療的背景
Social Adjustment and Therapeutic Background of a Long-term Schizophrenic Ambulatory Patient
藤森 英之
1
,
分島 徹
2
,
坂口 正道
2
,
木崎 康夫
3
Hideyuki Fujimori
1
,
Toru Wakejima
2
,
Masamichi Sakaguchi
2
,
Yasuo Kizaki
3
1東京都立墨東病院神経科
2東京都立松沢病院精神科
3積善会曽我病院
1Tokyo Metropolitan Bokuto Hospital
2Tokyo Metropolitan Matsuzawa Hospital
3Soga Hospital
キーワード:
Schizophrenic ambulatory patient
,
Long-term follow-up study
,
Social adjustment
,
Marriage
,
Therapeutic background
Keyword:
Schizophrenic ambulatory patient
,
Long-term follow-up study
,
Social adjustment
,
Marriage
,
Therapeutic background
pp.19-27
発行日 1990年1月15日
Published Date 1990/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902770
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抄録 10年以上の「長期通院分裂病者164名(男68,女96)の社会適応状況と治療的背景」を検討した。著者らの資料の調査時点における平均年齢は50.5歳,平均発症年齢25.6歳,初診時の平均年齢30.4歳,平均罹病期間24.9年と最終退院からの平均経過年数は16.4年であった。統計的にはχ2検定で10年以上の通院患者は女性に,逆に20年以上の場合は男性に多く,同居と別居あるいは結婚歴には男女差はないが,同居群では女性に親以外のものとの同居が多く,発病前と発病後の結婚歴では女性に発病前の結婚が多かった。
患者を支える家族には「逗留—寛恕型」,「節介—束縛型」,「役割—分担型」や「処世—教示型」が,配偶者には「共感・受容型」と「指示・助言型」のあることを述べた。就労状況は男女を含め84.3%のものが自立・半自立をしているが,長期通院患者の多くは対人接触や周囲の状況変化に「臨機応変」の対応が苦手で,対人交渉をあまり必要としなく仕事の内容に変化の少ない職場に適し,時に些細な出来事への反応が再燃・再発へと発展すること,治療者—患者関係における依存形成と薬物療法との関連を示唆した。
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