Japanese
English
研究と報告
失行および失書を主徴とする1例—神経心理学的,脳局在の検討
A Case of Apraxia and Agraphia: Neuropsychological and topographical studies
横井 晋
1
,
堀口 裕
1
Susumu Yokoi
1
,
Yutaka Horiguchi
1
1沼津中央病院
1Numazu Central Hospital
キーワード:
Apraxia
,
Agraphia
,
Agnosia of clock time and geography
,
Disturbance of body image
Keyword:
Apraxia
,
Agraphia
,
Agnosia of clock time and geography
,
Disturbance of body image
pp.861-867
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204756
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抄録 54歳の女子,右利き,52歳頃より記銘力障害が著しくなった。入院精査の結果,神経心理学的に構成失行,観念運動失行,失書が著しく,これとともに時計,地誌,方位の失認が認められ,ゲルストマン症状群として手指,左右に若干の障害があり,失算が目立っていた。文字の読みは可能ながら文章の読みはやや困難であった。神経学的には一般動作がやや緩慢であること,右視野の欠損,左視野の狭窄がある以外に特に異常はなく,脳波は一般的徐波化を認め,CT scanにより左上側頭回,縁上回,角回に低吸収域があり,その他後頭葉鳥距溝の左右皮質領域に,また右内包の一部に小梗塞巣がみられた。
失書,時計,地誌,方位の失認について文献例と比較検討し,これら症状は患者にみられたゲルストマン症状群,身体図式の障害が背景となっていることが推測された。人の書字,模写,構成行為を考える上で,その機構としての図式を提案した。
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