巻頭言
医療,今昔の感
竹村 堅次
1
1昭和大学医学部精神医学教室
pp.562-563
発行日 1989年6月15日
Published Date 1989/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204714
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歴史は年輪を刻む。時は流れ,事象は生々流転する。
これは私の最近の小著「日本・収容所列島の六十年一偏見の消える日はいつ—」の書評にペンを執って下さった斎藤茂太日精協名誉会長の冒頭の文である(日精協誌3月号)。誠に時は休むことなく流れ去り,やがて歴史となる。雑誌「精神医学」の創刊は昭和34年(1959)であるが,ここにも一つの歴史をみる思いがする。当時,私の恩師である三浦岱栄慶大教授(現名誉教授)が中心となり,精神医学と医療を広く分かりやすく世に伝えようとの目的をもって医学書院から発刊されたと聞く。この時精神科の経験10年であった私にも投稿をすすめられ,出張先の病院から送稿した「退院後の分裂病のケースワークについて」を,第1巻1号に掲載させて頂いたが,ふり返って今は懐かしい想い出である。あれから30年余り,精神科の医療はどう変わったか,またこれからどう変わるのか,読者にもそれぞれの立場からの思い入れがあると思う。
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