研究ノート
長崎における初潮年齢の時代推移
早田 みどり
1
,
守山 正樹
2
Midori SOHDA
1
,
Masaki MORIYAHA
2
1放射線影響研究所臨床研究部
2長崎大学医学部衛生学教室
pp.325-328
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900340
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●はじめに
初潮は,女性の性成熟過程に起こる変化の中で最もはっきりと自覚されるドラマチックな現象であり,女性の二次性徴を考える上で重要である.初潮年齢に関する調査は世界各地で行われており,人種・地域による差が少なからず見うけられる.
西欧では過去1世紀にわたり初潮年齢の若年化が見られ,Tanner1)はその速度を0.4ヵ月/年と計算している.日本では,第二次世界大戦後急激な初潮年齢の若年化が起こったとされており2),守山ら3)は仙台における調査でその速度を0.11年/年と報告している.一方,それ以前にも穏やかな若年化が存在し,急激な若年化の起こる直前に一時的な初潮の遅れが見られたとする報告もある4).しかしながら,初潮年齢の変動が大きかったと推測される1930年代から1940年代にかけての情報は十分でなく,若年化の開始時期およびその前後の推移については不明な点が残されている.本調査の対象者は1870年から1971年の間に出生しており,1世紀にわたる初潮年齢の推移を観察することができた.
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