Japanese
English
短報
睡眠時無呼吸症候群を伴った遷延性うつ病の1寛解例
A Successfully Treated Case of Protracted Depression with Sleep Apnea Syndrome
盛口 まどか
1
,
藤田 基
2
,
五十嵐 文雄
3
,
奥田 正英
1
,
伊藤 陽
1
Madoka Moriguchi
1
,
Motoi Fujita
2
,
Fumio Igarashi
3
,
Masahide Okuda
1
,
Noboru Itoh
1
1新潟大学医学部精神医学教室
2国立犀潟療養所
3新潟大学医学部耳鼻咽喉科学教室
1Department of Psychiatry, Niigata University School of Medicine
2National Saigata Sanatorium
3Department of Otolaryngopharyngology, Niigata University School of Medicine
pp.207-211
発行日 1988年2月15日
Published Date 1988/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204475
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I.はじめに
睡眠中の頻回の無呼吸を主症状とする睡眠時無呼吸症候群sleep apnea syndrome(SAS)は睡眠障害のほかに様々な身体症状,精神神経症状を示すことが知られている3,5,15)。精神症状の中で特に抑うつ症状は昼間の倦怠感や疲労感を伴ってSASの患者に良く見られると言われており7),これらに対しては非鎮静性の抗うつ剤が有効であり14,16),SAS自体も改善して来ると報告されている10)。一方,内因性うつ病では睡眠構造の異常が指摘されており9,13),臨床的にも睡眠障害が高率に出現する。特に遷延化したうつ病では頑固な不眠を訴えることが多い。うつ病の病因論からするとSASにおける抑うつ症状は興味深い問題であるが,うつ病にSASを合併したという症例の報告は少なく2,4,10〜12),両者の関連は明らかではない。
今回われわれは遷延化したうつ病に睡眠時無呼吸不眠症候群Sleep apnea DIMS(disorders of initiating and maintaining sleep)syndromeを合併し,sleep apnea DIMS syndromeの治療によりうつ病相を離脱させ得た1男性例を経験した。うつ病遷延化の成因論と治療論において示唆に富む症例のように思われたので,若干の考察を加えて報告する。
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