Japanese
English
研究と報告
幻覚妄想状態を呈した脊髄小脳変性症の3症例
Three Cases of Spinocerebellar Degeneration with Hallucinatory Paranoid State
福谷 祐賢
1
,
勝川 知彦
1
Yuken Fukutani
1
,
Kazuhiko Katsukawa
1
1国立療養所北陸病院神経科精神科
1Division of Neuropsychiatry, National Sanatorium Hokuriku Hospital
キーワード:
Hallucinatory paranoid state
,
Spinocerebellar degeneration
,
Organic mental disorder
,
Psychotic feature
,
Cerebellum
Keyword:
Hallucinatory paranoid state
,
Spinocerebellar degeneration
,
Organic mental disorder
,
Psychotic feature
,
Cerebellum
pp.489-495
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902836
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抄録 幻覚妄想状態を呈した脊髄小脳変性症(SCD)の3症例について報告した。臨床病型は症例1は孤発性オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA),症例2はJoseph病,症例3はFriedreich病と考えられた。3症例に共通して意識障害はなかったが,幻視および幻聴の幻覚と関係,被害妄想が経過中にみられた。妄想は体系化せず,その多くは特定の限られた対象に向けられたもので具体的,現実的事実から曲解的に発展してくる内容であった。症例2は体感幻覚がみられ,症例1,3ではうつ状態の出没のほか皮質下痴呆の症状も呈していた。3症例の幻覚妄想状態は,その特徴,その他の症状との関連より器質性精神障害による精神症状と考えられた。SCDに幻覚,妄想が出現することはまれであるが,小脳と精神症状との関連も指摘されており,SCDにおいては神経症状だけでなく,精神症状についても詳細な観察が必要であることを強調した。
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