動き
Viktor von Weizsäcker生誕100年記念シンポジウムに出席して
濱中 淑彦
1
Toshihiko Hamanaka
1
1京都大学医学部精神神経科
1Department of Neuro-psychiatry, Kyoto University School of Medicine
pp.1415-1418
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204263
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最近の数年間は毎年のように,精神医学史上に忘れがたい足跡を残した人物の生年または没年を記念するシンポジウムが,欧米の各地で相次いで催されている。ドイツ語圏について言えば,精神療法の先駆者であるFranz Anton Mesmer(1734〜1815)の生誕250年記念が1984年に,出生地にも近く彼が晩年を過したBodensee湖畔のMeersburgにおいて,またロマン派医学の時代にG. G. Carusらとともに無意識,夢と「自然科学の夜の側面」を論じたGotthilf Heinrich von Schubert(1780〜1860)の生誕200年記念が1980年に,彼の回想の地Erlangenにおいて,そして今世紀の精神病理学の基盤を築いた一人Karl Jaspers(1883〜1969)の生誕100年記念が1983年にHeidelbergにおいて,それぞれ学際的規模で開催されたのが,その一例といえようが,今年(1986年)はJustinus Kerner(1786〜1862)の他に,医学的人間学の創設者の一人であり,心身医学と神経心理学などの領域でも独創的な洞察を示したViktor von Weizsäcker(1886〜1957)の生誕100年にあたるので,Heidelbergにおいてその記念シンポジウムが行われた。その内容は近いうちにSpringer社より刊行の予定であるので,詳しくはこれを参照されたいが,筆者は,彼の著作の邦訳者の一人として出席する機会を得たので,その概略を紹介することにしたい。
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