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古典紹介
—Gilbert Ballet—慢性幻覚精神病—第1回—
Gilbert Ballet: La Psychose Hallucinatoire Chronique〔Encéphale 6, T 2; 401-411, 1911.〕
三村 將
1
,
濱田 秀伯
1
Masaru Mimura
1
,
Hidemichi Hamada
1
1慶応義塾大学医学部精神神経科学教室
1Service de Neuro-psychiatrie, Faculté de Médecine de l'Univcrsité Keio
pp.1185-1191
発行日 1986年10月15日
Published Date 1986/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204234
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皆さん,前回の講義で,幻覚を伴う被害念慮に悩まされているいくつかの症例を私が解き明したことを思い起こしてください。大部分の症例では被害念慮は誇大念慮を伴っていたことを覚えておられると思います。これらの症例について私は分析的研究を行ったわけです。今回の私の目的は,これらの症例を互いに近縁のものとして捉えるべきであることを皆さんに示し,そして細部では,つまり症状の組合せやその続き方,あるいは転帰に関してはそれぞれ異なる点があるにしても,少なくとも新たな体系ができあがるまではこれらの症例を1つの同一な疾患の異なる様式として考える必要があることを示すことです。この疾患を私は慢性幻覚精神病と呼ぶのが適当であると思います。
精神医学においては病理学の独立性を確立しようとすることは常に危険を伴います。私がここで提案しているものは,我々が吟味した事実を合理的にまとめる一つの試みにすぎないということを御了承いただきたいと思います。これらの事実を個別に検討した後,ばらばらなものとするか一つにまとめるかを決定する必要が生じてきます。私にはばらばらなものとするよりまとめて考える方が事実により合致していると思われますが,これは皆さんの御賛同を期待したいところです。
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