Japanese
English
研究と報告
発病後22年間を経て精神分裂病様状態を呈したモヤモヤ病の1例
A Case of Moyamoya Disease accomlbanied with Schizophrenia-like State after the Course of Disease for 22 years
小河原 龍太郎
1
,
中村 忠男
1
Ryutaro Ogawara
1
,
Tadao Nakamura
1
1諏訪湖畔病院精神科
1Department of Neuropsychiatry, Suwa Kohan Hospital
キーワード:
Moyamoya Disease
,
Schzophrenia-like state
,
Chronic-organicbrainsyndrom
,
Comnplex of Patient
Keyword:
Moyamoya Disease
,
Schzophrenia-like state
,
Chronic-organicbrainsyndrom
,
Comnplex of Patient
pp.47-54
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204086
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抄録 対話性幻聴,させられ体験を主訴に訪れた27歳の女子患者に固定した神経症状をみたため,詳しい病歴の聴取および脳血管写,CTを行って,典型的な若年型モヤモヤ病患者であることを確定した。患者は4歳の時に発熱と右上下肢麻痺で発病し精神遅滞を残したが,その後22年間,発作の反復なく精神的にも安定して経過していた。状態像の吟味により精神分裂病の合併ではなく,慢性脳器質性患者の呈する分裂病様状態であると判断した。また,生活史の検討をできるだけ詳しく行い,精神症状発現の要因として,脳自体の病変のほかに,長期間にわたる孤独状況があり,心理的要因として《人並みでない》という内的心理葛藤が重要な要因として判明した。このことから,脳器質性患者の治療にあたって,心身の相関関係を十分に考えて治療してゆくことの重要性を指摘した。
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