巻頭言
自然科学としての精神医学
宮川 太平
1
1熊本大学医学部神経精神科
pp.1102-1103
発行日 1985年10月15日
Published Date 1985/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204015
- 有料閲覧
- 文献概要
精神医学は自然科学かとの問に人はさまざまに答えるであろう。それは精神医学が二面性をもっていることによるものと思われる。すなわち,精神医学は時代の変遷に伴って変化する社会環境とそこに住む人間の考え方や常識といったものに常に支配されており,当然,時代とともに変っていく運命を持っているからである。その点ではいわゆる生物学的と一般に考えられているものとは大きく異なっている。しかし,一方において人間の精神がすべて脳の機能によって支配されていることを考えると,すべての精神現象は生物学的基盤に支えられているものと考えざるを得ない。その点では精紳医学は自然科学であると私は考えている。
そこで,生物学的側而からみた精神医学について私なりの意見を述べてみたい。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.