巻頭言
医学—社会班
淺田 成也
1
1淺田病院
pp.988-989
発行日 1985年9月15日
Published Date 1985/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204000
- 有料閲覧
- 文献概要
フランスでは,1950(昭和35)年,画期的な地域精神医療psychiatrie de secteur活動を開始したが,その実際の担い手として,医学—社会班uneequipe medico-socialが組織化された。一精神病院を中心にした,人口10万以下の特定地域を設定し,同地域内において,上記活動の責任を果たす一つの班を,そう称した。
かつて,精神薄弱の子,アルコール中毒の父,神経症の母が,別々に治療を受け,それぞれ個々の対応ですさまされていたが,その一家としての,又その家庭と社会とのかかわり合いの中での対応を充たさねば,治療の価値が乏しいことに関心が強まった。そこで,単に一人一人の治療の積み重ねによる医学的体験を積むだけでなく,家族ぐるみや社会状況とのからみ合いにおける力動的要因を把握し調整することを必要とし,そこに地域精神医療の価値が求められた。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.