Japanese
English
研究と報告
心因性尿閉の3例
Psychogenic Urinary Retention: Report of 3 cases and its psychopathological consideration
小俣 和一郎
1
,
福井 準之助
2
Waichiro Omata
1
,
Junnosuke Fukui
2
1北信総合病院精神神経科
2北信総合病院泌尿器科
1Department of Neuropsychiatry, Hokushin-General-Hospital, Nagano
2Department of Urology, Hokushin-General-Hospital, Nagano
キーワード:
Psychogenic urinary retention
,
Psychopathological analysis
,
Tetracyclic antidepressant
,
Autogenic training
Keyword:
Psychogenic urinary retention
,
Psychopathological analysis
,
Tetracyclic antidepressant
,
Autogenic training
pp.923-926
発行日 1985年8月15日
Published Date 1985/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203993
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抄録 泌尿器科学的には器質的病変をみないにもかかわらず持続的な尿閉を来し,それに基づく二次的身体症状を呈するいわゆる心因性尿閉の3症例を記載し,各症例毎に泌尿器科学的諸検査の結果を記述し,次いで精神病理学的考察を加えた。第1例は内因性うつ病に伴う部分的身体症状として尿閉を呈したものと考えられ,4環抗うつ剤を主剤とした薬物療法が有効であった。第2例に認められた尿閉はヒステリー性の転換症状と考えられ,被暗示性の高い性格を利用し自律訓練法を習得させることによって著効をみた。第3例の尿閉は無力型分裂気質者の慢性心身症症状と思われ,治療への動機づけが乏しいことから精神科的治療には長期間を要すると予想された。尿閉という同一の心身症症状を呈する症例にも精神病理学的には種々の病態の関与が考えられることから,いわゆる心因性尿閉を単一の疾患とみることはできず,各々の症例に即した有効な治療方法が選択されるべきものと思われた。
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