Japanese
English
研究と報告
下垂体腫瘍を伴った皮膚寄生虫妄想の剖検例について
An Autopsied Case of Delusion of Dermatozoiasis with Hypophyseal Prolactinoma
武田 雅俊
1,2
,
谷野 志郎
1,2
,
山下 昇三
1,2
,
松林 武之
1,2
,
広瀬 棟彦
1,2
,
西沼 啓次
1,2
Masatoshi Takeda
1,2
,
Shiro Tanino
1,2
,
Shozo Yamashita
1,2
,
Takeyuki Matsubayashi
1,2
,
Munchiko Hirose
1,2
,
Keiji Nishinuma
1,2
1国立療養所松籟荘
2現 大阪大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, National Sanatorium Shoraiso
キーワード:
Delusion of dermatozoiasis
,
Prolactinoma
,
Bromocriptine
Keyword:
Delusion of dermatozoiasis
,
Prolactinoma
,
Bromocriptine
pp.409-416
発行日 1985年4月15日
Published Date 1985/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203923
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 下垂体腫瘍(prolactinoma)を伴った皮膚寄生虫妄想の1症例(69歳,女性)に,脳循環改善剤,マイナーおよび,メイジャートランキライザー投与しても妄想の改善は認められなかった。またprolactinomaに対するbromocriptine療法により血中prolactin値が正常化した後もこの妄想は残っていた。しかし,さらにhaloperidolを追加併用投与したところこの妄想の消失が認められた。剖検脳の検索では,年齢から予測される脳萎縮変化・脳血管性変化は殆ど認められず,また,腫瘍に起因すると思われる圧迫による局所的神経細胞の変性脱落も認められなかった。bromocriptine投与による向精神薬に対する反応の差異や神経病理学的所見などから,皮膚寄生虫妄想の発生機制についての考察を試み,この妄想は必ずしも神経病理学的な器質的変化により引き起こされるのではなく,むしろドーパミンを中心とした神経伝達物質レベルでの機能的変化が関係している可能性を指摘した。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.