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展望
家族研究における2つの流れ—家族画テストと家族絵画療法(その2)
Family Dynamics and Art Therapy: A historical view (Part 2)
石川 元
1
Gen Ishikawa
1
1浜松医科大学精神神経医学教室
1Department of Neurology and Psychiatry, Hamamatsu University School of Medicine
pp.560-577
発行日 1984年6月15日
Published Date 1984/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203767
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VI.1970年代後半から今日に至る新しい動向
1.臨床家による家族研究
家族絵画療法を実践していた臨床家によって,地道な家族研究がなされていた。Greene(1977)は,異なった人種間において,父親の欠損が家族および集団絵画療法の過程にどう反映されるかを調べた。白人の子供では,絵自体の発達レベルは高かったが集団や家族内では最も抑うつ的で孤立していた。黒人の子供では発達レベルは低いが,絵は幸福感にあふれており,集団や家族内において,抑制を受けることはなかった。プエルトリコ人の子供は,両者の中間であった。
Rubin(1979)は,分裂病の母親およびその子供(実験群)と分裂病ではない母親およびその子供(対照群)の絵(家族画テストを含む)を比較した。母子別々にそれぞれ2時間の集団ミーティングを設け,a)人間,b)自分,c)家族,d)自由画,e)自由選択メディア,で絵を描かせた。発達,情緒不安定,自己概念に関しては両群で差がなかったが,実験群の子供には,Goodenough-Harris発達指標の平均が低い,1回目の人物画と自己像の高さの差が大きい,という2点で有意差が認められた。
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