Japanese
English
研究と報告
共通した原家族体験が認められた遅発性Anorexia nervosaの2症例の検討
A Clinical Study on Two Patients Suffering from Anorexia Nervosa Who Had the Same Experience of Family of Origin
川上 香
1
,
松本 英夫
1
,
深沢 裕紀
1
,
石川 元
1
,
大原 健士郎
1
Kaori Kawakami
1
,
Hideo Matsumoto
1
,
Hiroki Fukazawa
1
,
Gen Ishikawa
1
,
Kenshiro Ohara
1
1浜松医科大学精神神経医学教室
1Department of Neurology & Psychiatry, Hamamatsu University School of Medicine
キーワード:
Anorexia nervosa
,
Anorexia tardive
,
Family therapy
,
Family of origin
,
Middle age
Keyword:
Anorexia nervosa
,
Anorexia tardive
,
Family therapy
,
Family of origin
,
Middle age
pp.475-482
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902834
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抄録 思春期以降発症した遅発性Anorexia nervosaの2症例を検討した。症例Aは30歳のとき,次女を出産したが,その後拒食に陥り,40kgあった体重が10年後には26k9に減少した。症例Bは33歳のとき,長女の反抗期と,医師の減量指示を契機に減食を始め,46kgあった体重が15年間に25kgに減少した。
これらの2症例は発症が緩徐で経過が長く,また,両症例とも両親の不仲と父親の不在,見合い結婚後も母親への依存が続く,などの共通した家族背景を持っており,特異な家族力動が示唆され,家族療法にも反応がみられた。両症例は思春期を女性性獲得を達成しないまま過ごし,結婚した結果,母親としての対処をせまられたとき発症したと考えられた。このとき,やせは母親役割の放棄ととらえることができた。
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