Japanese
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研究と報告
抗てんかん薬長期投与のヒト染色体に及ぼす影響—血清濃度,与薬量,服薬期間と染色体異常との関係を中心に
Influence of Long-Term Administration of Anticonvulsants on Human Chromosome: Relationships between plasma concentration, dosage, duration of anticonvulsants and chromosome aberrations
松島 嘉彦
1
,
山根 巨州
2
,
国元 憲文
3
,
長淵 忠文
3
Yoshihiko Matsushima
1
,
Kyoshu Yamane
2
,
Norifumi Kunimoto
3
,
Tadafumi Nagabuchi
3
1島根県立精神衛生センター
2島根県立中央病院精神神経科
3鳥取大学医学部精神医学教室
1Shimane Municipal Mental Health Center
2Dept. of Neuro-psychiatry, Shimane Municipal Chuo Hospital
3Dept. of Neuropsychiatry, Tottori Univ. School of Medicine
キーワード:
Anticonvulsant drugs
,
Chromosome abnormalities
,
Serum folate
,
Chromosome analysis
Keyword:
Anticonvulsant drugs
,
Chromosome abnormalities
,
Serum folate
,
Chromosome analysis
pp.69-77
発行日 1983年1月15日
Published Date 1983/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203530
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抄録 抗てんかん薬長期服用者にみられる染色体異常について,16例の患者を対象に検討を行い以下の結果を得た。
1)染色体異常を有する異常細胞の出現率(abnormal cell%)と与薬量との間には一定の関係はみられなかったが,血清薬物濃度との間には正の相関傾向が認められた。
2)abnormal cell%と服薬期間との間には有意な相関が認められた。
3)15%を超えるabnormal cell%を示す女子てんかん群(異常群)とそれ以下の群(正常群)の平均服薬期間はそれぞれ16.9年,8.1年であった。
4)染色体形態の異常はギャップ,切断が多く,交換型異常の増加は認められなかった。
このような染色体異常の出現機序としては薬物の直接作用よりも血清成分の変化が重要であると思われた。
また,リンパ球の染色体異常の生体に及ぼす影響について考察し,長期抗てんかん薬服用者に対する染色体検査の必要性を喚起した。
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