Japanese
English
研究と報告
三人組精神病の1家族例—知見補遺
A Case of Folie a Trois
高橋 明
1
,
土居 通哉
2
,
臼井 宏
1
,
竹中 奎子
3
Akira Takahashi
1
,
Michiya Doi
2
,
Hiroshi Usui
1
,
Keiko Takenaka
3
1日本大学医学部精神神経科学教室
2防衛医科大学校精神科学教室
3高月病院
1Dept. of Neuropsychiatry, Nihon University School of Medicine
2Dept. of Psychiatry, National Defence Medical College
3Takatsuki Hospital
キーワード:
Folie à deux
,
Folie à trois
,
Psychosis of association
,
Double insanity
,
Paranoid reaction
Keyword:
Folie à deux
,
Folie à trois
,
Psychosis of association
,
Double insanity
,
Paranoid reaction
pp.637-643
発行日 1982年6月15日
Published Date 1982/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203429
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抄録 三人組精神病の1例を紹介した。5年前に両親の反対を押し切って遠方に嫁いだ29歳の娘に,嫉妬—,被害—,関係—,追跡妄想が生じ,第一段階として娘との分離に成功していず,彼女との親密な関係を願望していた,感情移入を起こしやすい母親がその妄想に感応した。第二段階として,衝動的で,母親に無批判,依存的な父親が感応し,ついには3人で同じ妄想を共有するに至った。この感応現象の背景には,両親がかねてから娘婿を好ましからざる人物と考えていた事実があり,妄想内容が両親に容易にあり得ることと受け取られ,2人の不満の発散に役立ったと考えられる。娘の妄想は両親に抵抗なく受容され,2人の発症は急性で,しかも娘との分離後数日以内に治癒した。これは上記の生活史的背景や,家族内対人関係にその理由があると考えた。また,これまでの二人組精神病の報告例と若干異なる点を指摘した。
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