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第24回病院精神医学会総会は10月3日,4日と山梨市民館において山梨日下部病院長松井紀和会長のもとに開催された。本学会は精神医療に従事する全ての者が医師,看護,SW,心理,OT等の職種を越えて討議に参加する唯一の学会であり,その前身の病院懇話会の時代から幾多の曲折を経て,今回の山梨大会を迎えた。参加者は会場の400席に溢れる盛会であったがここに2日間にわたる熱心な討論の一部を紹介して私見を述べたい。
学会の基本テーマ,「医療と福祉の原点を問う」のもとに第一日はシンポⅠ「治療チームをめぐる諸問題」とシンポⅡ「患者の社会生活を支えるためのかかわり」がもたれた。前年の神戸学会と同様,事例を中心に問題を堀り下げていく形式がとられシンポⅠでは日下部病院の医師,看護,心理,OT,SWが1事例とのかかわりを通して各職種の役割の明確化,チームリーダーのあり方,治療方針をめぐり職種間の葛藤,特に主治医が交代したときに露呈した混乱とその意味,家族の期待と治療者のくい違い,更に精神療法としての一対一の関係とチームの接点など事例のかかえている問題より,むしろそれにかかわる治療者側の精神力動をクローズアップして問題を提示した。これらの克服のためにチームリーダーの存在,治療者間の話し合い,治療目標の明確化,治療構造の再点検など活発な討論がなされた。1患者に4年間にわたる各治療者のかかわりが,過去に何度も失敗を繰り返したような安直な社会復帰の方向をとらず,患者さんが社会人として自立できるだけの自我の成長,確立を院内治療の目的におくこと即ち人格の再構成を目指していることが最後に述べられた。この点精神医療における治療とは,その意味と限界については討論を深めるまでに至らなかった。翌日の特別講演で川上武氏が医療人は健康者の論理に立っていないか。病者の立場を一層尊重することを強調したが,このシンポにおいても職種による専門性が患者個人の上にどれだけ有効に作用しているか,治療者のエネルギーが治療者間の葛藤に消耗されずに,患者とそれをとりまく社会へと有効に発揮されるためにはどうしたらよいか,各治療者がその能力を自分の役割を越えてより有効に患者のために生かされる方途を模索したようにも思えた。
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