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昨年にひき続いて今年も第2回の「精神病理懇話会・富山」が,5月31日から6月2日にかけて富山市郊外の呉羽ハイツで開かれた。この会の生い立ちについては,第1回の印象記(佐藤壱三:精神病理憩話会・富山,精神医学,21(1);105,1979)に述べられているから繰り返さないが,今回もやはり高柳功氏をはじめとする8名の実行委員の方々(河合義治,刑部侃,高柳功,武内徹,谷野亮爾,高田信男,平野正治,福田孜の諸氏)の並々ならぬ努力によって開催されたものであることだけは,なにはさておいても特筆しておかなくてはならないことだろう。この方々はすべて,大学などの研究機関に属することなく,臨床の第一線で日夜診療に従事しておられる多忙な方々である。そのかたわらこれだけの大規模な,しかも日本の精神病理学界の代表的な研究者を集めた学会を企画し,運営してゆくということは,想像も及ばないような御骨折りであっただろうと思う。この紙面を借りて心から御礼を申し上げたい。
全国規模の精神病理学の学会が久しく中断している現在,この懇話会の存在が意味深いものであることは改めていうまでもないだろう。私自身にとってもこの「富山学会」は年1回のこの上なく楽しみな予定になろうとしている。全国の多くの精神病理の学徒たちにとっても同じだろう。大都市の大会場でのいささか無機的な学会と違って,地方色豊かな小都市郊外でのどちらかというと簡素な施設を使っての「手造り」の学会は,精神病理学という学問の性格ともよく合っている。当初試みに3年間に限ってということだったが,望みうるものならば今後もずっと存続させていただきたいと思う。現在おそらくは世界中で最も活発であろうと思われる日本の精神病理学にとって,この「精神病理懇話会・富山」はさしずめその象徴的な存在になるだろうと考えられるからである。
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