Japanese
English
研究と報告
発作後もうろう状態について—遷延性の経過を示した1例
A Case of Postictal Twilight State
森 俊憲
1
,
加藤 秀明
1
Toshinori Mori
1
,
Hideaki Kato
1
1岐阜大学医学部神経科精神科教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Gifu University, School of Medicine
pp.391-397
発行日 1978年4月15日
Published Date 1978/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202748
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I.はじめに
もうろう状態(Dämmerzustande)は意識野の狭窄が高度な特殊な意識混濁をさすが,その定義は成書においても一様ではなく大きな差異が認められる。てんかん性もうろう状態という場合には広義に解釈され意識障害を中心とする精神障害として述べられることが多く,発作症状と持続精神症状の中間に位置するものと考えられている2)。てんかん性もうろう状態は,Landoltの分類12,13)を中心に次のように分けられるのではないかと思われる2,6)。
a)発作前もうろう状態
b)発作後もうろう状態
c)欠神発作重積状態(小発作重積)
d)器質的色彩のもうろう状態
e)活動性—精神病様もうろう状態
f)精神運動発作重積
このうち発作後における脳の機能障害を代表すると考えられる発作後もうろう状態は発作侵襲とそれに対する生体反応との相互作用とも解釈でき,状態像としては興味深いものがあると思われる。しかし古典的なもうろう状態であるがたあにか近年詳細な報告例には乏しい3)。今回われわれは全般性けいれん発作後約3週間続く発作後もうろう状態と思われる1例を経験したので,臨床,脳波的な経過観察に心理的側面からも考察を加え報告する。
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