Japanese
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研究と報告
B-Mitten Patternを示す反復性昏睡発作の1例—心因と器質因との関連
A Case of Recurrent Reversible Comas with B-Mitten EEG: With reference to relationship between psychogenic and organic factors
加藤 進昌
1
,
斉藤 高雄
1
,
内沼 幸雄
1
Nobumasa Kato
1
,
Takamasa Saito
1
,
Yukio Uchinuma
1
1帝京大学医学部精神医学教室
1Dept. of Psychiatry, Teikyo University, School of Medicine
pp.31-42
発行日 1978年1月15日
Published Date 1978/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202705
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I.はじめに
諸種の精神神経疾患において,心因性の要素と機能的ないし器質的障害とが相互にどのように関与しあっているかということは,これまで繰り返し論議されてきた問題の1つであるが,臨床場面では,これを二者択一的に考えるよりも,むしろ相補的かつ総合的にとらえるべき症例に遭遇することが稀でない。
われわれは,神経学的に昏睡と考えられる意識障害発作を反復し,しかもその後の長期にわたる経過からその発現に心理的要因の強い関与が明瞭となった症例を経験した。この症例では,発作時に一致して紡錘波が出現する中等度睡眠波形と,B-mitten patternが多量に出現する脳波がみられ,また他に多彩な自律神経症状を伴っていたが,同時にヒステリー性の機序の関与が疑われた。われわれは,昏睡と脳波異常に代表される身体症状と心理的要因との関連を考える上で好個の症例と考えたので,若干の文献的考察をも加えて報告する。
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