古典紹介 解説
—ルドルフ・バリント著—「“注視”の精神麻痺,視覚失調,空間性注意障害」について
石黒 健夫
pp.982-985
発行日 1977年9月15日
Published Date 1977/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202665
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Bálint症状群は半側空間無視とともに視空間失認の中核症状であるが,その報告は比較的まれで,1966年までに不全型を含めると報告例は32例(本邦11例),うち剖検は9例とされる5)。本邦ではその後,2例が学会報告のかたちでごく簡単に追加されたにすぎない3)。現在,訳者の森岩が1例と石黒が2例を検討中であるが,症例数が少ないのには,Bálint症状群を呈するほど純粋で高度の視空間失認はなかなか得られないということがあり,また,多くは視空間失認の極期に短時間しかみられないので,見過ごされている可能性もある。
視空間失認,ひいてはBálint症状群が興味をもたれるのは,これらが単なる失認でなく,失行の要素を併せもつ点であろう。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.